黄昏のロースカツサンド

平日の朝食はコーヒーとカツサンド。

ここ1年ほどの私のルーティーン。

毎朝同じコンビニで買う。

仕事場のビル内にあるコンビニなので、そこの社員だけが利用するコンビニである。

 

店員のシフトもあまり変わらないし、こちらの利用時間もだいたい一定なので

なんとなく顔見知りみたいになっている。

 

1年前、カツサンドの品揃えは「ロースカツサンド」と「ひれかつサンド」の2種であった。

 

私はロース派なので、ひれかつサンドには手を出しておらず

一般的に言ってもロースに人気があるようであった。

 

お昼の時間にはひれかつサンドは残っていても、

ロースは売り切れていることが多かった。と思う。

 

カツサンドはロース派の私は、

朝、たまたまロースが入庫していなかったときは、おにぎりなどに変更していた。

 

それが半年前程から、ラインナップがひれかつサンドのみになってしまった。

私はある種の戦慄を覚える。

 

ロースカツサンドは前述の通り、すでにメジャーな立ち位置を確立している。

私の行くコンビニでも恐らく売上速度はロースのほうが早い。

 

そして「ビル内」という限定された空間では、ある程度来店者数は限定される。

通常店舗と比べ、より販売予測が立てやすいはずだ。

 

そこに一年前から現れた、毎朝決まった時間にカツサンドを購入する客。

コンビニ店長は考えた。

 

仮にひれかつサンドのみになったとしても、

選択肢がなければカツサンドフェチなコイツはひれかつサンドを買うのだろうか。

 

ロースが無いときにひれを買っては行かないが、

そもそも、ロースを置かなくなればどうするのだろう?

と。

 

同条件になった場合、

準カツサンドフェチならなおさらだ。

 

(注)準カツサンドフェチとは、

「あー、今日はカツサンドな気分ー」

な時、

運悪くカツサンドが売り切れていた場合でも

トンカツ弁当や、カツ丼弁当に逃げられるフェチ度のメンバーのことである。

 

であれば、最初からひれだけにしておけば、

「ロースカツサンド」vs「ひれカツサンド」

における売上の不均衡は解消され、

より安定した売上予測が立つ。

 

店長のこの悪辣な実験は、一定の効果が出たようだ。

 

今までは、夕方、ちらほらと売れ残っていた「ひれかつサンド」。

私の調査では、最近の当日完売率はほぼ100%になっている。

 

私はきっと、この店長に手玉に取られているのだ。

 

そしてこんな風に言われていると思う。

 

「毎朝来るカツサンド好き、ロース無くしてもひれ買ってったよ(笑)」

「どんだけカツサンドなんだよ(笑)」

「カツサンダーだな、もはや。」

「毎朝、『今日も元気にかつサンド。世界の平和を守るカツサンダー!』とか言ってるね、絶対(笑)」

 

店長は最近新兵器を投入してきた。

 

「牛メンチカツサンド」

 

私は負けない。